建学の精神
「婦人の中に未来の人は眠れり」


揺籃(ゆりかご)を動かす手は世界を動かす。

どんな偉人、賢人にとっても、最初の教育者は母である。

富国強兵・殖産興業という男性中心社会の明治の世に、

創立者岡本巌は、すぐれた母の育成をめざして、

私学西遠の最初の種をまいた。

時は移り、世は変わっても、建学の精神は普遍の真理である。

社会の中で女性の果たす役割が一層大きくなる二十一世紀、

西遠で学び、西遠で育った女性たちが、自分の中に眠る未来の

自分を目覚めさせ、次代を担う未来の子供の揺籃を動かす。

そして ・・・・・・・・ 世界が動く。






 校訓「典雅・荘重」は創立者岡本巌先生の建学の精神を尊重し、 私学・女子六カ年一貫教育を集約したものである。 「典雅」とはみやびか、やさしさ、あたたかさを意味する。 女子のやさしさは、決して弱々しさを意味するものではなく、志操堅固の強さを秘めていなければならない。 これを「荘重」という。「強く、正しく、美しく」は本質的に「典雅・荘重」と同義語であることは言うまでもない。 この校訓を基盤にして、「よき家庭人、よき社会人」の育成こそ、学園の理想であり、理想的人物像をここに描く。
本学園の歴史の重みと伝統の深さを再認識し、明日の成長を考えたい。
1.学園の歴史と伝統は、作られたものではなく、教師と生徒との不断の日常生活の中に、 生まれ、育まれた、行動の記録である。
2.学園の歴史と伝統は、君たちの先輩が、この学園でいかに学び、生活したかの青春の物語である。
3.学園の歴史と伝統は、過去の遺物ではなく、将来の栄光に向かって、時代とともに強く、正しく、美しく生きる指標である。
4.学園の未来は、夢みることでなく、建学の精神に基づき、その歴史と伝統の上に立って、現実を直視し、 それを育て、改造し、変革してゆく、私たち不断の努力でなければならない。


 青年期といわれる中学・高校時代にどのような師に出逢い、 どのような友に恵まれ、どんな本を読んだかということは、その後の人生に大きな意味を持ちます。 したがって、このような時期に、どこで、だれと、どんな教育を受けるかは、想像以上に大きな問題です。
 西遠女子学園は90年にわたる私学教育と女子教育の実践の上に立って、古くて良いものは大切に残し、 時代とともに変わるべきものは積極的に改革して、今日の西遠教育を築いてきました。したがって西遠の教育は、 特定の理論や宗教から導かれたものではなく、日々の教育実践を通してみがき抜かれてきたものです。 これは私学だからこそ、教員が20年、30年と同じ教育現場にとどまってできることであり、中高一貫教育だからこそ、 高校入試に惑わされることなく腰を落ちつけて教育できる成果です。
 最近、全国的に女子の大学進学率が上がってきましたが、これはこれからの時代の女性に、 一層高度な実力が求められているからにほかなりません。そのため本学園は5年・6年(高校2年・3年)で、 進路にあわせてコース制をとっていますが、いわゆる進学校としての進路の目標達成をめざすだけでなく、 6年間の一貫教育の中で、幅広い活動や体験を通して、どこに出しても恥ずかしくない女性の育成に努めています。